カッパァ華
「イヤや……イヤや……俺はカッパァ探すんや……カッパァが、どこかで泣いてるかもしれんやないか……」



部屋に戻った秀樹は、現実を受け止められず、泣くことしか出来なかった。



まだまだ幼い秀樹の心は、まるで心臓をギュッと握られたような痛みに苦しんでいたのだ。




そのころ居間では父親の政吉が、段ボールに衣類などを詰め、急な引っ越しに向けての作業を繰り返していた。



夜遅くになり、夕食をまだ食べに来ない秀樹を政吉が呼びに行っていた。



「秀樹。夕食を食べよう。
お前の好きなたこ焼き作ったから」



「俺……イヤやわ……やっぱりイヤやわ……」



納得がいかず、しかし、現実が迫り来る事に、小さな心は必死にもがき苦しんでいた。





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