先生×私Ⅱ~隣の部屋の王子様~


「……なあ、菜月……。思ってること全部言え。溜め込んでまた今日みたいに倒れたら……困るんだ。」


「………………でも……。」


「菜月。どんなことでも俺は受け止める。お前の不安を取り除いてやりたい。」


菜月の目を逃がさないように見つめる。



菜月の綺麗な唇がゆっくりと動き出す。

「わ……私の……気持ち……きいて…………?」


消えそうな声を聞いて俺は静かに頷いた。



「ちゃんと……将来について考えたっ……
啓太の持ってきてくれたパンフ見たらっ…………行きたいなって思う大学があったの……」


菜月の目に涙が溜まっている。


「うん…………じゃぁそこに行けばいい。」


「!!!」


彼女の目から涙が溢れた。


「行きたい所に行きなさい。」


「な、なんでっ……啓太はっ…………わ、私と離れてもっ……」


俺はその言葉を塞ぐように菜月を抱きしめる。


「大丈夫なわけないだろ?
お前と離れてて俺が大丈夫なわけねぇんだよ!」


「っ、け、けぃ?」


「でも!菜月のためなんだ。菜月が夢を叶えるためなら…………そのためなら…………どんなことだってガマンすんだよ。」



菜月を抱きしめる腕に力をこめる。


「離れてても……大丈夫かな……」


「大丈夫だ。ってか、会いにいく。俺には菜月しかいねぇんだから……安心しろ。」


強く。
強く。
離れることを許さないように抱きしめる。



伝われ。

俺はお前を離したくない。
今すぐにでも…………

俺のものに…………。



ただ、その言葉だけはまだ言えねぇんだ。
まだだ。


その時がきたら。



ずっと俺のそばに菜月を置いておく。



俺から離しはしない。

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