解けない恋の魔法
「緋雪とハンナが一緒にいたのは香西さんも見ていただろうし、きっとみんなわかってるよ。ハンナが原因だって」

 ハンナさんは華のある人だから、どこに居ても目立つ。
 私や宮田さんと三人で話しているのを見られていたとしてもおかしくはない。

「宮田さんが、ハンナさんは性格が悪いって言ってたこと……よくわかりました」

 最初からそう教えられていたのに、話半分に聞いていてあの美貌と笑顔にすっかり騙された私も悪い。

「どうせ……なにか嫌なことを言われたよね?」

「まぁ……そうですね」

「なにを言われた?」

 あれをまた思い出さなきゃいけないのか、と思うと気分が沈む。
 正直、思い出したくはないし、口に出したくもない。

「いろいろと言われましたけど……唯一カチンときたのは、私が宮田さんに対して色目を使って枕営業をしていると……」

「はぁ?!」

 宮田さんの眉が一気に釣りあがったのを見て、言うんじゃなかったと後悔したがもう遅い。
 濡れた髪の水分をタオルで拭き取りながら、私は咄嗟に愛想笑いを浮かべた。

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