解けない恋の魔法
一週間ぶりに聞く、彼の声。
そう、あの日……
告白だのキスだのと、幻聴とか幻影に一気に襲われたあの日から、会ってもいないし電話もしていなかった。
デザインの進捗は気になっていたし、それは仕事として確認しなくてはいけなかったけれど。
あれがまったくの幻だったとは、やっぱり思えない。
どう考えてもあれは夢や幻じゃなくて現実だった。
それをただ認めたくなくて、私は幻だったと思いたいだけなのだ。
仕事をする上で、彼を無視するのもそろそろ限界だなと思っていた矢先。
おそるおそる電話に出てみたのだけど……
まったくいつもと変わらない声色に、ギクシャクしないで済むのかと思うと内心ホッとした自分がいる。
『あのさ、今週の日曜だけど、あけといてね!』
相変わらずの、唐突な発言だ。
久しぶりに話すから余計にそう感じるのか、初っぱなから言うことが意味不明すぎて、クエスチョンマークが頭に浮かんだ。
それに、例の幻聴と幻影のことはすでに忘れているようでなにも触れてこない。
私だけが悶々と考えていたのかと思うと、バカらしくなってくる。