彼の秘密と彼女の秘密


___凛___


瑠璃はまだ寝ている。
そっと起こさないように布団から出る。
大広間に行くと嵐がいた。
嵐に昨日の瑠璃の件を話す。


「どう思います?」

「どう思うって、お前、そりゃお前の事が好きな女中がやったに決まってるやろ」

「僕は家の者になんか手を出していませんよ」

「勝手に思っているだけやったのが、急に帰ってきたと思うたら
とびきり美人な彼女ができてて、さらに一緒に住むっていうんだ。
怒りのやりどころに困ったんやろうな」

「そういうものですかねぇ」

「お前って本当に好きな女以外の女の事はどうでもええねんなぁ」

「そんなの当たり前じゃないですか」

「やれやれ。今日から瑠璃のお風呂には女の隠密をつけといてやる。
家の中はそっちの者で頼むな」

「ありがとうございます。それと、嵐は今日呉服屋に行きますよね。
瑠璃と僕も行きます。瑠璃の浴衣と着物を買わなくてはいけませんからね」

「わかったよ。俺はちょっと事務所に行ってくるわ」

「いってらっしゃい。瑠璃の事頼みますね」

「大丈夫だろ。元があれだけ良ければ。じゃあな」



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