彼の秘密と彼女の秘密


___里奈___


この人は手を貸してくれるだろうか。

この事を話してしまった以上、断られたら生かして
返すわけにはいかない。

でも、私はこの人に敵うのだろうか。
助けてもらったこの人に刃を向けられるだろうか。


「ええやろ。俺らはちょっと前に久賀のもんには縁があるしな。
ただ、この場で俺だけの意見で決めるのは無理や。
一度、帰って御影、うちの鞍馬双方の意見次第や。ええな?」

「わかりました」

ほっとした。

ほっとした?
何に?

この人に刃を向けずに済んだ事に??

まさか。

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