彼の秘密と彼女の秘密


「私が先陣を切ります」

言ったのは瑠璃だった。
これにはみんな驚いた。

「瑠璃、いくら稽古しているとは言え、
もしもの事があれば、私が困ります」

「だから、こういう時の為の力でしょ?」

「私は殺す為の力だとは思っていません」

「違うよ。誰かを守る為、だよ」

「では、先陣をきって何をしようと言うのです」

「力で全員をまず拘束し、解散させる。その為に
凛と嵐には両つ当主として立ち会ってもらい、
血判状を書いてもらう」

「それでは、いつ、こちらに歯向かってくるように
なるかわかりませんよ」

「そうかぁ...なるべく人を殺したくないんだけどな...」

「瑠璃のそういう所は好きです」

「てめぇら、そういうのは2人の時にやりやがれ」

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