俺様とネコ女
「なぁ知ってるか?」

山本は椅子の背もたれにどっしり寄りかかり、頭の後ろで手を組んだ。


「こころちゃんの誕生日、もうすぐなんだって。5月5日らしいぞ」

「こどもの日ですか」

「でな。ゴールデンウィークはお祖父さんの法事があるから、実家に帰省するらしい。何回忌って言ってたかなあ」

「主任詳しいですね」

「だろ?加藤課長に差し入れしたら教えてくれた」

「ワイロすか。最低ですね」


俺の知らない情報を山本主任が知ってることが面白くない。不愉快だ。


「何がゴールデンだ。俺らはほぼ仕事だろ。どうなってるんだ1課は!ああそうだ!俺は社畜だ!」

暑苦しい山本主任がそう吠えた。


完全週休二日。祝祭日も休みで有給休暇は年間40日。社則にはそう定められているが、俺は入社以来、自分の意思で有休をとったことがない。

有休取得率が下がるからと人事部に頼まれてとったくらいだ。

1課は仕事量がえぐい。所属部署によってこんなに差があっていいのかとは思う。

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