俺様とネコ女
「洗いものなんか後でいいだろ」

「ん。待って」

泡だらけのスポンジを手に、まんざらでもない顔で俺を振り返る。俺はその無防備な頬に唇で触れ、抵抗できないのをいいことに、好き勝手に触れる。


「ちょ、やッ」

うなじにキスをした時だ。ここの反応のせいで、我慢の限界に達した。


濡れた手なんかお構いなしにこっちを向かせ、思いの丈を態度で示す。

したいようにキスをして、邪魔な眼鏡は適当に投げた。


驚いていたここも、次第に心地よいキスを返してくる。このままこの場所で押し倒そうかと、本気で思った時だ。


「コウくん。ほんとにもう終わるから」

「チッ」

「ほらほら。舌打ちしないの」

「もう寝る」

「拗ねないでよ。大人でしょ」


ムカつく。無視だ。ついさっきまで潤んだ瞳をしてたくせに、余裕ぶって笑いやがって。
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