俺様とネコ女
ベッドに優しく投げる。

ふわりと広がった髪の毛を手で撫でながら、「ちょっと待ってね」と起き上がり、俺の腕をすり抜ける。


自分の鞄を開けて、何かを探し始めた。


「ゴムならある」

こことの行為を期待し、ストックを切らさないよう先日仕入れた。

「違うよ」

「じゃあなんだよお前、何でそんなに焦らすわけ?」

「洗い物したらハンドクリーム塗らなきゃ乾燥して痛くなるの」

女子ですから。となぜか誇らしげに、目的のものを手に塗り込んだ。


「お待たせ」

ベッドに入ってくると、「かまって」と言わんばかりにすり寄ってくる。それがやけに可愛くて、仕方ないからかまってやる。


「焦らしやがって」

馬乗りになった俺の首に、するりと腕を絡ませ、派手なリップ音付きのキスを繰り返す。


「"待て"ができたね。お利口」

「お仕置きだ」


甘ったるいにおい。ここの指先から香る。
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