俺様とネコ女
「マスター悪い。俺たちケーキ苦手」

さすがの俺様も、申し訳なさそうに言った。

「ごめんなさい。でもありがとうございます」


私も謝ると、眉を下げ、悲しそうに笑ってごまかすマスター。

「賭けにして悪かったなっていう気持ちだったんだけど、まさかこんなオチが待ってるとは」




コウの腕に、腕を絡ませ歩く。

やっぱり今日は、いい1日になったなと夜空を見上げる。一時はどうなるかと思ったけど。


「腕組んでも嫌がらないんだね。カレカノになったから?」

「あ?ああ、考え事してた」

「何?」


顔を覗き込むと、コウの歩みがわずかに遅くなる。それに合わせて、歩幅を調整する。


「ここ。俺の家に越してこい。お前んち遠いから不便だろ」

「え?うんそうだけど」

「と言うのは建前で、俺がお前と一緒にいたい」


言葉が出ない。


「なんか言えよ」

・・・・

「おい」

「もう、これ以上泣かせないでよ。今日涙腺故障中なの。やだ。嬉しい」


ぐずぐず言いだした私を、よく泣くネコだのなんだのと散々言ってくるけど、コウはちゃんと優しかった。

コウは本当に私のこと好きなんだと、態度が教えてくれる。


部屋帰ったら飲み直さなきゃ。アルコールで、水分補給しなきゃ。

コウ。付き合ってよね。
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