俺様とネコ女
ミーティング終了後、デスクで今日1日の報告書を作り、明日の訪問予定を組みなおしていた。

隣の大男が、さっきからため息を連発する。ミーティングで、最近の営業成績について課長からダメ出しされたからだろう。


「なあ赤澤。俺最近絶不調だ」

「弱気ですね」

「恋も仕事も、足踏み状態だ」

「はあ」

「食欲もない」

「そうですか?昼飯がっつり食ってたでしょ」

「いや、牛丼大盛りじゃだめだ。いつもならメガなのに」

バシバシと、キーボードを叩きつけるようにタイプする主任。その癖直せよ。


確かに最近の主任は、成績が今一つだ。企業の狙い所も提案書も悪くないのに、結果が出せないでいる。

今年の東京本社行きは主任で決まりだと、1課の全員が思っている。本人も然り。それまでに、今の案件出し切って、契約数を伸ばしてから本社に行きたいと思うが故、焦っているのかもしれない。


主任はメンタルが弱い。ここのことを本気なのかどうか分からないが、今、俺とここのことを言うべきじゃない。

仕事終わりに、飲みに行っている時でもいい。なるべくショックが小さく済むタイミングを狙って伝えた方がいい。


チャンスはいくらでもあるだろう。
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