俺様とネコ女
あっという間に朝が来て、ここの声で目を覚ます。ここは、俺を起こすのが好きだという。

「どんなに忙しくても、コウの1日が私から始まるのがうれしい」

こんなかわいいことを言う恋人は、仕事が楽しくなってきたと、朝の慌ただしい中、誇らしげに報告してくれる。

濃い目のブラックコーヒーを飲みながら、歌うように話す。朝からごきげんなネコだ。


「覚えが早いねって褒められた。それでね、そろそろ課長の補佐じゃなくて、単独行動させてみるって」

「へえ」

「私、群れるの好きじゃないんだよね」

「さすがネコ」

「ネコじゃないって」


猫かぶりバージョンのここが、通勤用の薄手のジャケットを羽織る。柔らかい素材の白いスカートに、髪の毛はいつもの一つくくりだ。

俺が先に車で出た後、ここはバスで通勤する。


「無理じゃなかったら、会社出る前に連絡してほしいな。ご飯の準備しやすいから」

「ああ」

「ありがと」


それはそうだと素直に従う。一人の生活が長かった。おまけに、女を家に入れたことさえなかった俺は、恐らくここに対して気遣いができていない。
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