俺様とネコ女

2.コウside

気が立って、仕事が手につかない。


できることなら、誰彼構わず当たり散らしてやりたい。笑顔が作れない。人と会話するのが億劫だ。

史上最悪に機嫌が悪いところに、廊下で長電話をしていた山本主任が、ホクホク顔で戻ってきた。


「赤澤。ヤッホーニュース速報だ」

「・・・・」

「や、ええっとだな。ヤッホーというのは、某有名検索エンジンと俺のご機嫌度合いをだな、」

「そこはどうでもいいです。で?」

「なんだおい。機嫌悪いな。まあいい、聞いて驚くな。なんと!こころちゃんの破局疑惑だ!」

「は?」

「駅前の居酒屋で、こころちゃんと企画の大沢が飲んでるなうだが、こころちゃんが泣いてるらしいんだ」


ここの異変には、金曜の夜、家に帰ってすぐ気づいた。ほんの数時間前、役員会議前に秘書課で会った時には、いたって普通だったというのに。一体、数時間の間に何があったんだ。

ここは頭が痛いと訴えたが、そうじゃないことくらい俺でもわかる。
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