俺様とネコ女
欲望のままに抱いた。

噛みついたわけじゃない。牙を剥けたりしない。ただ、愛しくて堪らない気持ち、動揺、不安、悲しみをぶつけた。


「やめて、や、これ以上、怖い、気持ち、」


めちゃくちゃにしたいという願望をここも受け入れたはずなのに、今更やめろと請われても無理だ。

唇で唇を塞ぐ。やめてと言わさないために。この気持ちを鎮める術があるなら教えてくれ。


もう何度も限界に達したここを、離してやらない。止めてやらない。


怖いんだ。


気まぐれなネコが、俺の腕をすり抜けていくんじゃないかと、どれだけ怯えているか。


ここの上に倒れこんで、肩で息をする。ここは両目から涙を流している。

ぐったりしてベッドから起き上がれないここを抱きしめながら、自暴自棄になったことを後悔した。
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