秘めた恋
ただ見てるだけで良かった・・・。

ただ一緒のクラスにいて、楽しそうに笑ってる古橋君を見て
元気をもらえるだけで良かったのに・・・・。

欲を出さなければ、あんなことにはならなかったのに・・・。

彼と急接近したのは一ヶ月経ったある日のことだった。

いつものように私は一人昼食を早く済ませると
図書室に足を運んだ。

みんなが席を移動してグループを作り、談笑をしながら
昼食を取ってる時間が自分にとっては地獄でならなかった。

授業中は静かにしないといけないため勉強に集中しなくとも
景色を眺めたり、携帯をいじったりと
ある意味、皆が一人の世界に浸るのである。

だけど昼食の時間になると別だった。
先ほどまで一人の世界だった者達は仲間を集め、固まり、
その者達の世界で教室は埋まってしまう。
それに溶け込めない自分にとっては窮屈な時間に他ならなかった。

図書室は格好の逃げ場所でもあったし、
私がほっと安らげる天国のような場所でもあった。

図書室に入り、慣れた様にある本棚と本棚の隙間に向かって歩く。
静まり返った空間がなんとも心地良い。

ここには騒がしい生徒はいないし、孤独を恐れることもない。
唯一残念なのは古橋君を見ることが出来ないだけだった。
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