秘めた恋
Another story

目に付く存在

大学3年目の春、私が所属するテニスサークルに
学内でもトップを争うほどのイケメンだと話題になった
後輩が入ってきた。

彼の名は東郷和馬、18歳。
通学は主にリムジンでの送迎。
立ち姿は、凛として気品にあふれ、
彼の笑顔は爽やかで愛らしく、まるで白馬に乗った王子様・・・
ではなくリムジンに乗った王子様だと
入学式当初から周りの女性陣を虜にさせた。

同じ学年からだけではなく私たちの学年でも彼のファンは後を絶たなかった。

「くだらない。」
私の名前は、橋本美雪。そんな噂にこれっぽっちも興味なかった。
親友の理沙は、「え~今日の新入生歓迎会楽しみじゃない!私なんてこの
テニスサークルに入ってくださっただけで本当に感激~」と大はしゃぎだった。

私は大きくため息をつくと「なによ、そのつれない態度!王子様に興味ないの??」と
理沙がわざとらしく悲しい顔で言ってきたので「みんなにチヤホヤされて浮かれてる王子なんぞに
興味はないし、第一年下なんか眼中にないわ。やっぱ大人の雰囲気の漂う社会人なんて
素敵じゃない!あー年上の素敵な男性に出会いたい」とわざとらしく目を輝かせて言うと
理沙が「えー」と呆れたように応えた。


そう、私はまるっきり彼のことなんて気にも留めてなかった。
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