秘めた恋
「いらっしゃいませ~。」

店内へと足を踏み入れた。一歩一歩飾られた宝石を見ながら進んでいく。

社会人になってから私はブランドに興味を持つようになった。

自分の価値を高めたかったこともあるけど
本当は心のどこかで和馬くんに相応しい女性になりたいと思っていた。

彼のような金持ちの男性と釣り合うようになるには
自分も高価なものを身につけた方が良いと思った。

自分の腕にかけたオレンジ色のバッグを見た。
会社の人からは男に貢いでもらったとか思われてるみたいだけど
どんなに高価なものであったとしても私はいつだって自分で買ってきた。


ここに飾られてる宝石はダイヤが多く白く輝きを放っていた。

眩しくて目を開けていられない程に。


彼のあのそっけない態度はなんだったのだろう。

あそこまでなんで私に冷たい態度を取るのだろう・・・

ある宝石の場所で私は立ち止まった。


どうして再会を喜んでくれないの・・・?

色々あったけど、和馬くんにとって私はそんなちっぽけな存在なの?


宝石が白く滲んで輝いて眩しくて・・・私は思わず目を閉じた。

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