秘めた恋

「もしかして和馬君じゃない？」

そこにいたのは一瞬モデルさんかと思えるくらい
背の高いスレンダーの美人の女性だった。

「美雪さん・・・。」

いつも人をからかうような余裕な表情をしている彼が
その女性を見た瞬間、不機嫌さを露にした。

「なんで、ここに・・・。」

「偶然ね、ちょうどここのブランドの新作が欲しくなって・・・。
相変わらず男前ね。」

そう言って近づくと彼女は彼の顔を覗き込んだ。

「やめてくださいよ。」

「あら？なんで？」
彼女はからかうように言うと私の方を見た。

「お隣の彼女は？」

「同じ会社の知り合いです。」

私はその綺麗な女性と目が合い、「は、初めまして。」と応えると
優しく微笑んで「可愛らしい女性ね。」と言ってきた。

こんな綺麗な人に褒められるなんてと有頂天になっていると
「これから食事するんで失礼します。」と言ってオオハシさんは
私の肩を掴んで引き寄せ歩き始めた。

「え！？」

すると美雪さんは後ろから「また、連絡しても良い？」と言ってきた。
だけどオオハシさんは応えることなく私を連れてベンツの方へと向かった。