秘めた恋
「お、オオハシさん、さっきの綺麗な女性は誰ですか?」

早足の彼に合わせるために私は小走りになりながら彼に尋ねると

「お前には関係ないだろ。」と前を向いたまま彼は応えた。

「もしかして昔の女とか?」

「・・・・・・。」

「綺麗な女性でしたよね。どうして別れたんです?」

「・・・・・・・。」

「オオハシさん、チャラいし、モテるから彼女がやきもち焼いて・・・」

「うるせーな、黙って歩け。」

彼は私の腕を掴み、ベンツの後部座席に放り込むと彼も隣に座り込んだ。

彼は苛立ちながら「いつものフレンチに行け。」と執事に命令すると
ベンツはたちまち発進した。

オオハシさんの余裕がないところを初めて見た。彼は右側の窓ガラスの外を
ずっと見ながら不機嫌そうに両腕両足を組んでいた。

「あ、あの・・・・。」

本当に綺麗な人だった。向こうはまだオオハシさんに気があるようだったのに
なんでオオハシさんはあんな態度を取ったのだろう。


『もしかして和馬君?』


私は目を瞑り、先ほどの光景を思い出しているとふとあることに気づいた。

「ん?」

そういえばオオハシさんって和馬って名前なんだ。
あれ、どこかで聞いたことあったな。どこだっけ?
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