秘めた恋

初恋の結末



今日のお昼も彼が来るのを楽しみにしながら
図書室で待っていたけど10分、15分待っても
大樹君が来る気配がなかった。

「何かあったのかな?」

私は本を読み、時間をつぶしていたけど
彼が来ないからだんだん心がそわそわし、
結局私は図書室から出て彼を探し始めた。

そして教室から男女の高い笑い声が聞こえて
一瞬胸騒ぎを感じた。

恐る恐る教室に入ると男女数名、
話が盛り上がりながら食べている中に
大樹君の姿があった。

私の鼓動が一瞬どくんと大きく鳴った。

一人の男子生徒が「あれ?霧島さんじゃん。どうしたの?」と
声をかけてきたけど気にせず「古橋君・・・」と彼に声をかけた。

「なに?」
彼はこっちには目もくれずそっけなく応えた。

「今月まで図書委員の仕事でしょ?本を戻しに来た人が
受付が出来ないって困ってたよ。」

本当は誰も図書室に来なかったし、ただの口実だったけど
無責任な彼に非難するには効果的だと思った。

だけど、彼は私の方を向くと悪びれもなく
「じゃあ、霧島さんがやっといてよ。」とからかうように言ってきた。

「え?何を言って。」
そう言って彼に話しかけようとしたが
「悪いけど霧島さんがいると場がしらけるから」と言われ
私はショックでそれ以上何も言えなくなった。

「えー大樹、それひどーい。」と言葉とはうらはらに
目立つグループの女生徒の一人に笑われた。

私は唇を噛み、逃げるようにその場を後にした。
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