秘めた恋

「あー水木さん一体どうしたんですか？」

私は彼女を振り返って聞くと

「ごめん、ごめん。実は副社長から社内電話があって
今日秘書がいないから代わりにお茶を入れてきてくれって頼まれて」
と水木さんが応えた。

その瞬間、「はい、はい！私行きます！！」と浅利さんは元気よく
片腕を上げたが

「それがね、森さんを指名してきたのよ～。」と言ってきた。

「へ！？私ですか？」

「え！？なんで？」と驚きで次から次へと疑問がわいた。

「私、面識ないのに・・・。」

「知らないわよ、副社長の気まぐれでしょ？」と水木さんが応えると
「へぇ、それはおめでとう。副社長って妖艶な女性ばかりを近くに置いてるから
てっきり年上の綺麗な人が好きなのかと思っていたけど違ってたのね」と
僻みなのか皮肉交じりに浅利さんが言った。

私は訳が分からず黙っていると

「でも、森さんには彼氏いるものね～」と今度は高梨さんが言ってきた。

「え！？彼氏？誰ですか！？」

またびっくりしてそう聞き返すと「営業のオオハシさんでしょ！」と
笑いをこらえるように高梨さんが言ってきた。

私は一瞬どきっとしたがすぐに動揺を隠すように
「ち、違いますよ！彼とはそんな関係ではないです！」と否定した。

「え～誰それ～」と浅利さんが言うと「森さんも隅に置けないわね。」と
水木さんもからかった。

「もう！違いますって！！」