一秒の確信
佐藤将。

ありきたりな、そしてありきたりではないドラマ演出。

「お前って可愛いね。」

そんな言葉を吐いた、佐藤将と言う男。
村田を待っていた時だった。
下駄箱の前で、クールっぽい素振りの男が声を掛けてきた。

あたしは、皆と同じ学校から転校して、皆とは離れてしまった。

村田、塚本、将。
あたしが未だあの学校に居た時。
佐藤将が告げた言葉。
佐藤将は人気だった。
同じ学年の女子からも呼び出された。

板東「佐藤将に告られたんだよね?あたしは昔から将を好きだった。あんたみたいなのに将を渡すわけにはいかないから。あと…。」

あ…あと?

そのあと板東が言った言葉。
しっかり覚えているから。

板東「あんたが本命なのって、佐藤将ではない。…紛れもなく塚本五月(さつき)だって事、あたしは知ってるから。…まだ皆には言わないでおいてあげるよ。」

誰もがきっと知っていた。
あたしが塚本ばっかり目で追っていた事。
きっと村田も知っていた。
だけど村田は事勿れ主義。
そして佐藤将はきっと知らない。
あたしが塚本を好きな事を。

『きっと』じゃないんだ。
『勿論』知らない。

転校してから、外で会えた。
それを『塚本組』と呼んでいた。
違法行為ばかりのこの集団に、村田だけは殆ど参加していなかった。

偶然に、塚本の強引な態度で誰かを遊びに誘うとゆう性格上、よってあの日村田は誘われたんだ。

村田が居てくれて助かった。
村田に告げる事が出来た。

将から告白された事、村田に言えばもしかすると塚本に話が回る?

塚本は紛れもなく佐藤将が好きだから。

…そう、塚本との出逢いだって。


塚本「よっ!君なんてーの?」

結「あたし?ってか貴方誰?」

塚本「塚本五月(さつき)。5月に産まれたから五月。村田と同じクラスなんだ。村田待ってんでしょ?その間に少し話してようよ?」

結「5月に産まれたんだね。…じゃあさつきって呼ぶよ。」

塚本「駄目だよ。下の名前は気に入らないんだ。うちの消えてったオヤジがね、こんな下らない名前を付けたんだよ。だから塚本でいいよ。村田も、村田。自分も、さつきじゃなくて塚本。ね?お前は結。苗字で呼ぶの勿体ないからさ。可愛いし。お前はさ。お前さ…自分のメンコになれよ。マジで可愛いから。仲良くして欲しい、お…俺と。」

塚本があたしの名前を知っていたのは、村田が
言ったから。

【塚本「村田、一緒に帰るべ。」

村田「結ってのと、用事がある。」

塚本「お前が他のクラスに友達居るなんて、らしくねーの!どんな子?」

村田「背ちっちゃくて、宇宙人みたいな目真ん丸な子。」】


そう、佐藤将と同じように、同じ下駄箱で塚本と名乗るイケメン女子と出会った。

塚本五月が自分自身をオレと呼ぶことに抵抗がなかった。
カッコいい女の子は皆自分自身を『俺』って言えばいいのに。

あたしの思考回路はその時、只ひたすらに塚本に侵されていったんだ。

佐藤将は学校でもナンバーワンクラスでのモテ男。
同様、塚本五月もナンバーワンクラスでのモテ女。

どちらも敵に回す?
まさか。
あたしは佐藤将に好かれたまんまで構わないんだ。
寧ろそのまんま好きで居て。

なのに塚本は…。
毎回、毎回、本当にあたしを可愛いがるんだ、だから塚本ファンの視線が痛いけど。
だけど優越感に駆られていたんだ。

佐藤将なんてどうでも良かった。
塚本が将を好きな事位、解っていたんだよ?

村田?
最初から解ってたんだよ。

ずっと塚本の視線を辿ってるだけで解るなんてあたしも異常。

でも、どうして?
塚本はどうして自分の好きな人を教えてくれないんだろう。

記憶が曖昧だ…。
もうあたしの脳みそは塚本の事だけ。
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