Classbook



あ、誘拐とか?

なわけねーよな。

運転に集中している袴田君の横顔を見る

黙ってればカッコいいんだけど

きりっとしてる目とか小さい顔とか

…まーうらやましいわな。

私も顔が小さくなりたいなー


「なに、南」

「…なんでもないですー」


いつの間にか信号が赤になっていて、袴田君をガン見していたのにの気づかれて
しまった。

…きまづー

なに、私、袴田君のことずっと見てたとか。

怖いわ。無意識だったのがさらに。


「何、南俺の顔に何かついてるのか?」

「いや。で、今どこに向かってるんですか」

「あー、南の家?」

「なわけないですよね」

「あー、家」

「誰のですか」

「俺の」

「…」 


なぜに、袴田君の家に向かっているのか。

私の意志というものは袴田君には一切通らないのかー

…こんなにもひどい人間だったのかよ。



< 33 / 117 >

この作品をシェア

pagetop