兄貴がミカエルになるとき
「あんた、お店はいいの?」
「リチャードのごちそうだって言うから、なぎさたちに任せて飛んできたわ。どうせ早い時間は暇だしね」
「だから、まだごちそうするとは言ってないんだけどなあ。なんでアキと同じこと言うんだよ」
慌ててリチャードが話に入る。
「私たちにはあなたが考えていることが聞こえちゃうのよ。さ、シャンパンでも頼みましょう」
がっちりとした体に黒いワンピースをまとった由美子さんは自分の前に置かれたドリンクメニューを開いて、本当にシャンパンの銘柄を選び始めた。
「まったく君たちは恐ろしいほど言うことが同じだ」
リチャードが苦笑している間に手を上げて、由美子さんがボーイを呼んだ。
そしてボーイがこちらに到達するまでの間に今度は私とトオ兄に向かって、
「咲季ちゃん、トオルちゃん、久しぶり……でもないわね。5月にちょこっと会ったわね。トオルったらまた男前になっちゃって。もー私、トオルちゃんみたいな男子と付き合いたいわあ。咲季ちゃんは相変わらずモデルっぽくないとこがいいわねえ」と言ったかと思うと、次はテーブルに到着したボーイに飲み物を頼むため、
「さ、みんな何を飲む?」と、テーブルをぐるりと見渡し、選択を迫る。
「由美子さん、相変わらず忙しないね」、とトオ兄に小さく囁いたつもりだったが、トオ兄よりも早く由美子さんの返事が戻ってきた。
「聞こえたわよ。この年になると残された時間が少ないんだから忙しくもなるのよ。あんたも40過ぎたらわかるわよ」
由美子さんの残された時間が少ないようには到底思えないけど、と思ったところにリチャードが「君は大丈夫。きっと150歳まで生きるよ」と言い、そこにママが「そうねえ、150はきついけど、110歳までは生きるわよ」とかぶせ、「ということは、私ったらまだ60以上生きちゃうわけ? やだ、結構先が長いじゃない」と、自分で突っ込む。
いずれにせよ、やかましい人たちだ。
「リチャードのごちそうだって言うから、なぎさたちに任せて飛んできたわ。どうせ早い時間は暇だしね」
「だから、まだごちそうするとは言ってないんだけどなあ。なんでアキと同じこと言うんだよ」
慌ててリチャードが話に入る。
「私たちにはあなたが考えていることが聞こえちゃうのよ。さ、シャンパンでも頼みましょう」
がっちりとした体に黒いワンピースをまとった由美子さんは自分の前に置かれたドリンクメニューを開いて、本当にシャンパンの銘柄を選び始めた。
「まったく君たちは恐ろしいほど言うことが同じだ」
リチャードが苦笑している間に手を上げて、由美子さんがボーイを呼んだ。
そしてボーイがこちらに到達するまでの間に今度は私とトオ兄に向かって、
「咲季ちゃん、トオルちゃん、久しぶり……でもないわね。5月にちょこっと会ったわね。トオルったらまた男前になっちゃって。もー私、トオルちゃんみたいな男子と付き合いたいわあ。咲季ちゃんは相変わらずモデルっぽくないとこがいいわねえ」と言ったかと思うと、次はテーブルに到着したボーイに飲み物を頼むため、
「さ、みんな何を飲む?」と、テーブルをぐるりと見渡し、選択を迫る。
「由美子さん、相変わらず忙しないね」、とトオ兄に小さく囁いたつもりだったが、トオ兄よりも早く由美子さんの返事が戻ってきた。
「聞こえたわよ。この年になると残された時間が少ないんだから忙しくもなるのよ。あんたも40過ぎたらわかるわよ」
由美子さんの残された時間が少ないようには到底思えないけど、と思ったところにリチャードが「君は大丈夫。きっと150歳まで生きるよ」と言い、そこにママが「そうねえ、150はきついけど、110歳までは生きるわよ」とかぶせ、「ということは、私ったらまだ60以上生きちゃうわけ? やだ、結構先が長いじゃない」と、自分で突っ込む。
いずれにせよ、やかましい人たちだ。