兄貴がミカエルになるとき
「大丈夫だ。お前も一緒に行けばいい」

「へっ?」

「留学しろよ。そしたら心も体も連れて行ける」

もうおまじないが効き始めているのか、にっこり投げかけられたその笑みに、すーっと引き込まれていきそうな意識を、胸をトントン叩いて慌てて呼び戻す。

トオ兄のおまじないは強力だ。

「考えておく」

「時間はそれほどない。期限は2カ月」

「なんでそんなに急がなきゃいけないの?」

「いずれにしても受験勉強は夏くらいから始めるだろ。TOEFLの勉強もあるし、早くしないと間に合わない」

3分前まで考えもしていなかった留学が、ありえるかもしれないと考えている自分に驚く。
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