兄貴がミカエルになるとき
さっきまでクリアに晴れていた青空に、突然厚い雲がずしんとのしかかってきたかのように私の中の風景がどんより曇った。

一瞬にして陰った私の表情に、美奈ちゃんが同情の目を向け「でもさ、クラスまで一緒になるとは限らないし、選択科目も違うだろうから大丈夫よ」と慰めてくれる。

久美ちゃんは馬をなだめるときみたいに「落ち着いて、どうどうどう」と、私の背中をさすってくれた。

「そうだね」

その言葉にすがって私は気を取り直し、皆と一緒に入学式の会場へと向かった。


入学式の式典が終わると、それぞれが前もって知らされている自分のクラスに入っていった。

私と幸っちゃんはBクラス。

そして美奈ちゃんと久美ちゃんはお隣のAクラスで、「近くてよかったね」と喜びあったけど、教室の中に足を踏み入れたとき、まるで中学時代に戻ったかのようなデジャヴを覚えた。
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