「笑顔をくれた 」~ありがとうを伝えたい~

「盗難…」

「まさかね」

そう思いながらもう1度辺りを見回した。

年始でお店の中はとても混んでいた。

「どっかで落としたんだよ、きっと」

私は自分を慰めながら、そう思いたくて、そうあってほしくて、必死な思いで探し回った。

そんな時、妊娠している私のことを思い、自分の事のように、私以上に必死な思いで探し回ってくれていたYちゃん。

私と美友の元を離れ、3階、2階、1階と走り回ってくれていた。

サービスカウンターに届いていないか、

ゴミ箱の中に捨てられていないか、

警備員に私のバックの色や形を説明し、持っている人を見なかったか、

私とYちゃんはあらゆる所まで探した。

私のバックの中には、お財布はもちろん、携帯、車の鍵、免許証、銀行のカード類、印鑑まで全て入っていた。
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