君想い
土屋くんの言葉を理解するのに
少し時間がかかってしまった。 
 

土屋くんをもう一度見ると


「ありがとう。」


そう微笑んでいる。


どうやら話を全部聞いていたみたいで、


チャンス…なんて。



真と菜美はおめでとうなんて笑う。


それを見てこれでいいのかもなんて
思っている私がいた。


「ねぇ、ちょっと話さない?」


土屋くんの誘いに乗って
私達は今、屋上。


「おれは、他の人を好きなひなたも
 まるごと好き。 

 ねぇ、これから一緒に
 登下校しよ?

 もっと、ひなたのこと知りたい。」


「ありがとう。
 そんなこと、初めて言われた。」

まともに付き合ったことのない私には

なんだか、十分すぎる言葉が温かくて

嬉しくて涙がこぼれた。


大きな大きな手で拭ってくれて、
まだ、時間はかかるかもしれないけど、

この人ならもしかしたら

もしかしたら…

好きになれるかもしれない。


そう思った。


キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン


「なんか、眠くなってきちゃった。
 サボっちゃおっかな?」


そう言って寝転ぶ土屋くん。


「私も、サボる!」


私もそう言って隣に寝転んだ。


思った以上に気持ちよくて、
眠気が一気に襲ってきた。


ポカポカと優しい日差しと
澄み渡る綺麗な青空。











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