君想い
section5
「おはよー。」


「おはおはー。」


挨拶を交わして、クラスに入ると、
菜美が真の席に来ていて、

“待ってました”

とでも言うように話しかけてきた。


「どうだった?」


「どうだったってなにが?」


「うーんもう、土屋くんと昨日
 帰ったでしょ?それよ、それ!」


「あぁー!」


「あぁーってあんたね、
 人が心配してるのに、もう。」


なんて言いつつ笑っている。


「ありがとう。」


そう言って昨日のことをすべて話した。


「それ、本気よ、絶対。
 ひなはそれでいいの?」


「ううん。
 だってやっぱり忘れられないし…。
 今日ちゃんと断ろうと思う。
 このままじゃ土屋くんにも
 悪いし…。」


そう答えると、
黙って聞いていた真が話だした。


「いいと思うよ!
 甘えてもいいんじゃないかな?

 だって、蒼井のこと忘れられる
 チャンスじゃん。

 今はまだ忘れられなくても、
 この後、すきになるかもよ?」


「でも、すきになれないかもsh…。」

と弱気な私。


「そんなの分かんないじゃん?
 土屋にも自分にもチャンス
 あげるのもいいと思うよ?
 案外お似合いだと思うよ?」

と菜美。


昨日は断ろうと決心していたはず
なのに、自分の気持ちが揺らぎ始めた。


どうしよう?

なんて、迷っている自分がいる。


「俺にチャンスくれない?」


頭上からふいに声が落ちてきた。


「はい!」


とっさにはいなんて言ったけど、


誰だ?


頭上を見上げると土屋くんが立っていた。

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