君想い

帰り支度が終わり、

土屋君の方を

パッと見るとまだ教室にいた。
 
というか寝ちゃっている。

寝不足なのかな?

気持ちよさそうに寝ているのに

すぐ起こしちゃ悪いと思って

本を読んでいた。

ちょっとたったら、起こそう。

そう思い読んでいると、

気づいた時にはもう夕方で教室には

私と土屋君のふたりぼっち。


そろそろ起こさないと、

そう思い、声をかけた。


「土屋君、土屋君。

 そろそろ帰らないと、

 もう夕方だよ?」

「う、うーん。

 ひな、ひなた。」


突然、名前を呼び捨てで

呼ばれて驚く私。


あれ?

でもまだ、寝息が聞こえる。

寝言だったのかな笑


「なに、そんなに見られると

 穴あいちゃうんだけど。」


そう言ってすくっと上半身を
起こし、伸びをした。


ってやばい、


私そんなにガン見しちゃってたのかな?


気づかれちゃったよ、

いつ起きたんだろう。

うん?それとも起きてたのかな?


そう思って聞こうと思った。


けどそれは声にはならなくて。


不意打ちの触れないか触れるかのキス。


え?!


突然のことにびっくりして、

涙が出た。

足は自然と

家に向かっていた。

「あっごめん。」

その声は、私には届かず。


なんで?なんで?


そればかりが思い浮かんで、


泣きそうになった。


土屋くんはそりゃかっこいいよ。

それは認める。

でも、かっこいいだけじゃ
ダメなんだ。

会ったばっかりだし、
やっぱりそういうのって
お互い好き同士ですることでしょ?


私には好きな人がいるんだ。


でもそれは叶わない恋。




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