恋は盲目〜好きって言ってよ

タクシーの中繋いだ手をぎゅっと握る。


彼女の不安を解消してあげたい。


彼女の求めるのはどんな言葉より好きだ

と言ってほしいのはわかっている。


だが、好きだと言う言葉は今まで女を抱

くための上等文句で感情のないただの言

葉だったのだ。


そんな言葉を愛しい君に伝えていいのだ

ろうか?


考えを巡らせ部屋の中へ。


手を繋いだままソファに座ると彼女を膝

の上に乗せぎゅっと抱きしめる。


(好きだよ)


思いは溢れているのに言葉にする事がで

きない。


「お詫びは、何⁇」


今日の約束を変更したのだから約束を守

ってもらおうか⁈


その間に、心を決めよう。


きっと奈々の事だから、頭の中で一生懸

命考えて時間がかかると思っていたのに

首に腕を絡ませ唇にキスをしてきた。


唇を離し首をかしげて


「これじゃダメ⁈」


なんて、かわいい事を言い出す始末だ。


せっかく、勇気を出して好きだと言うつ

もりだったのに人の決意を打ち砕く。


(煽ったんだから、ちゃんと責任とれよ)


「こんなんじゃ足りない…責任とれよ」

奈々の頭部を押さえ込み、唇を貪る。



逃げる唇を追いかけ捕まえる。

潤んだ瞳が、刹那そうにしている。


奈々をお姫様のように抱きあげ、寝室を

目指す。


チクリと首に残す跡。

「俺のものっていう印な」

唇に優しくキスをし、奈々の身体にひと

つひとつ刻んでいく。



耳元で

「奈々、好きだよ。」

優しく微笑みおでこにキスをする。


聞こえているだろうか⁈


ふと笑みを浮かべたような気がした。


今度言う時は君に一生の愛を誓う時だ。


その時は愛を込めて囁くよ。

それまで、愛しい君に甘い言葉をいつも

投げかけるよ。


だから、不安にならないで……待ってい

てほしい。
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