白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
言いながら、ジワリと涙が浮かんできた。
こんなに近くにいるのに、気持ちさえも伝えられなくて、ぎこちなさも抜けない。
過去を忘れて新たに恋をスタートさせようと思ったのに、どうしても過去が邪魔をする。
何も怖がらずに、好きだと素直に言えたらいいのに。
他の女子のように、簡単に柊の周りにいることが出来たらな。
「……ック」
突然、柊が苦しそうに息を詰まらせた。
驚いて見ていると、何と、彼の頬に、ツーっと涙が伝ったんだ。
右目からツーっと落ちて、今度は左目からも落ちる。
「……柊?」
頭が痛いのかと思ってさっきよりも大きめに名前を呼ぶけど、彼は目を開けない。
……怖い夢でも見てる?
あたしは、そっと柊に手を伸ばし布団の上からトントンと優しく撫でた。