白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「情けないよね? バトンパスの練習で捻挫だなんて」
「でも、大したケガじゃなくてよかったじゃん。体育祭までには治るんでしょ?」
「うん。先生はすぐ治るだろうって」
あたしが言うと、柊は安心したように息を深く吐いた。
「今日、アイツらと一緒に帰るの?」
柊はそう言って、必死に練習を続けているマキとハルを顎で指した。
「え? ああ、特に約束はしてないけど……」
あたしが答えると、柊は細かく頷いてあたしを見下ろした。
グラウンドを染めるオレンジ色の夕日が、彼のサラサラの前髪とキレイな瞳をキラキラと照らしだす。
「俺、送ってくよ」
「え?」
あたしが目を丸くすると、柊は切れ長の目を優しく垂らし微笑んだ。
「こんな時くらいしか役に立てないし。まぁ、俺がチャリ通なら一番よかったんだけど、二人乗りは禁止だしな」
そう言って、「意外と真面目だろ?」と笑う。
ほら……。
ずるいよ、柊は……。