白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
時々こうやって優しいから、あたしは柊から離れることが出来ないんだ。
わざとやってる?
あたしが柊の微笑みに弱いの、一番よく知ってるでしょ?
心身共に弱ってる時にそんなに優しくされたら、どんどん好きになってしまうじゃん。
そしてまた、冷たくしたりするんでしょ?
柊……。
柊にとっての今のあたしは、どんな存在なの?
送ってくれるって言ったのも、クラスメイトがケガして困ってるから助けたかっただけ?
それとも、あたしだから特別に……?
あぁ、ダメダメ。
特別だなんて思ったらダメだ。
すぐに欲が強くなるんだから……。
柊は一旦教室に戻って制服に着替え、あたしのスクールバックも一緒に持ってきてくれた。
日が傾きはじめ、空がオレンジ色から、紺色、紫、グレーが混ざりマーブル状の色になる。
だけど、暑さは和らがない。
6月に入って、どんどん気温が夏に近づいて行く。