白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
借り物競走のスタートを知らせるピストル音が鳴り、ハルと5人の男子が一斉にスタートを切った。
6人ほぼ同時のスタート。
一列に並んで指示の書かれた紙をテーブルの上から引く。
紙を広げて中を確認し、それぞれ色々な方向に別れていく。
ハルもグシャリと紙を握りしめ、一目散にあたし達の方へと走って来た。
目線も、あたし達に向いている。
あたしは驚いて、柊と目を見合わせる。
「古賀!!」
ハルがこちらに走って来ながら、柊を呼ぶ。
柊は、「俺?」と自分を指差し、少し顔を前に出す。
「ちょ!! 古賀!! 来て!! 俺、おまえと二人三脚しなきゃなんないんだ」
「は? 俺と二人三脚」
突然のことに柊が眉間にシワを寄せると、ハルは無理やり柊をテントの中から引きずり出し、自分のおでこのハチマキを取って足にくくり付けていた。
「古賀!! 右足からな」
「え? あ、うん」
完全に困惑している柊のことなんて、完全に無視だ。
勝負に真剣になっていて、相手の意思なんて関係ないんだと思う。