白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「演劇のヒロインとヒーローを決めたいと思います」


文化委員の男女ふたりが黒板の前に出て、主役決めが始まる。


夏休みが明けたばかりのクラスメイトのテンションは高く、みんな演劇は嫌だと言いながらも主役決めになるとなぜか張り切っていた。


それは多分……。


ヒロインとヒーロにはキスシーンがあるから。


好きな人とふたりで演じたい。


そう思っている人もいると思う。


もし、ヒーローが柊だったらどうする?


あたしは脇役で、舞台の上でキスをするふたりを見なきゃいけないんだよ?


耐えられる?


柊がヒーローになったら、あたしは文化祭の日は仮病でも使って休もうかな……。


「ヒロインとヒーローはくじ引きで決めたいと思います」


文化委員が言うと、みんなから様々な声が上がった。


賛成する人。

嫌だと悶える人。

推薦がいいと訴える人。


あたしは……。



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