白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「あれ? ユキ、どこ行くの?」
このぎこちない空気に耐えきれなくて、あたしは席を立った。
「ちょっと、トイレに」
廊下を指差して、軽く笑って身を縮めながら柊の横を通り、教室の後ろのドアから廊下に出る。
ガラガラガラ、ピシャ……。
廊下に出て後ろ向きでドアを閉め、1回ため息。
重い体を引きずりながら廊下を歩いた。
ガラガラガラガラっ!!
「篠原っ!!」
激しくドアの開く音がしたと思ったら、すぐにハルに名前を呼ばれて振り返った。
ハルは軽快に走ってくると、あたしの隣にピタリとつく。
「なに? どうしたの?」
廊下を歩きながら、突然追いかけてきた理由を聞く。
マキにはトイレと言ったけど、別に行きたいわけじゃない。
目的もなく、新学期で浮かれている生徒の間をだた歩いてるだけ。