白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


だけど……。


セリフもまともに覚えていないし、台本を見ているせいで動きもガチガチだし、棒読みだし、で、全く劇に面白みがなかった。


「……ダメだ」


あたしが台本を持つ手をだらりと垂らし項垂れると、練習に参加していたクラスメイトがみんなあたしを見て苦笑した。


「家で何度もセリフ読んでるのに、全く覚えられない」


ヒロインになったからには、みんなに迷惑をかけないように毎晩遅くまで台本を読んでるのに……。


そのせいで最近寝不足だから、なんか頭もフラフラするし……。


なんだか体も怠い気がする……。


喉も痛いし……まさか風邪引いた?


喉がイガイガして咳払いをすると、ハルが眉間にシワを寄せてあたしを覗き込んできた。


「なに? 篠原風邪?」


「え? ああ、どうかな? なんか喉が痛くて」


あたしは喉を押さえて、また咳払いをする。


「大丈夫か? 体調悪いなら無理して練習しなくていいんだぞ? まだ時間はあるし」



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