白い恋の結晶~キミへと続く足あと~

保健室での優しさ



演劇の練習は、メインのメンバーだけが毎日練習しようということになった。


王道具や小さな役の人たちは、そんなに時間がかからないから。


あたしはヒロイン。


誰よりもセリフが多い。


もしかしたら、王子よりも多いかもしれない。


王子は言葉数が少ないけど、とても頼りになった男前の役だ。


それに比べて、姫は独り言も多く明るい性格のためずっとしゃべり続けているんだ。


覚えなきゃいけないことがたくさんあるから、時間があればずっと台本を見ている。


暗記の苦手なあたしなのに、きちんとセリフ覚えられるのかな……。


放課後教室に残っているのは、王子役の柊、姫役のあたし、執事役のハル、メイド役のマキ、後は王族の関係者役の、合わせて15人くらいだ。



机を全て教室の後ろに移動して、少し動けるだけのスペースを作る。


あたし達は、先生の作った台本を片手にセリフを見ながら、実際動きを付けて演技をした。




< 188 / 297 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop