白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


柊の優しくて穏やかな声が、あたしの体の中にスーっと入って来た。


あの冬のように、急に消えちゃったりしない?


本当にどこにも行かない?


太陽の光りに輝く雪は好きだけど、柊が遠くに行ってしまった季節だから、あまり好きじゃない。


このままずっと、暖かい日が続けばいいのにって……そんなバカみたいなことを思うんだ。


「ちゃんとここにいるから。迎えが来るまで、少し寝てろ」


柊はあたしの手を布団の中に戻し、ポンポンと頭を撫でて、また腰掛けた。


よかった。

本当にどこにも行かなかった。


9月後半。


まだまだ暑さの残る初秋。


フワフワと柔らかい夕日で染まる保健室で、あたしは柊に頭を撫でてもらいながら、眠りに落ちた。





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