白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
マキが、うっとりと柊を眺めるあたしの隣に来て、肘で突っついてきた。
あたしはハッと我に返り、咳払いをしてごまかす。
「姫と、王子。今日、何かキセキが起こりそうな気がするんだけど。それってあたしだけ?」
「え? キセキ?」
あたしが聞き返すと、マキはあたしに耳を近づけてきてあたしと柊を交互に指差して話しだした。
「愛し合っているのに、国の問題で一度は別れなければならなかった姫と王子。話しは全く違うけど、あんたらも同じようなこと経験してるじゃん」
「…………」
「親の転勤の問題で古賀くんは遠くに引っ越しちゃって、離れ離れになって自然消滅」
「…………」
「だけどこうやって、古賀くんはまたユキの前に現れたでしょ?」
「……うん」
「この劇だって、王子が再び姫の前に現れて国を捨てる覚悟で姫にプロポーズするじゃん。まぁ、最後は悲しいけど」
確かに、マキの言うように、この劇の内容とあたし達のことは似ているところがある。