白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
正門を出て一車線の田舎道を歩きながら、耳だけを後ろのふたりの会話に集中させる。
歩道もガードレールがある為、ふたり並んで歩くのがやっとだ。
あたしが左肩に提げるスクールバックの持ち手をギュッと握ると、力の入った二の腕が隣のハルに歩く度にコツンコツンと当たる。
すると、ハルがわざと肘で突っついてきた。
「おい! こっち側でカバンを持つな! 邪魔だろ」
「え? あ、ああ、ごめん」
ハルの険しい表情を見て、あたしは慌てて右側の肩にかけ直す。
すると、ハルが驚いたように目を丸くして眉間にシワを寄せたので、あたしは少し体を逸らした。
「な、なに?」
「あ、いや。突っかかってこねぇなと思って」
「は?」
「いや、ほら。いつもなら文句言ってくるだろ。うるさいだの、自分が持ちかえればいいのにだの」