白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「目を覚まさない姫へ、王子は優しく口づけをしました」


柊の顔がゆっくりゆっくり近づいてくる。


これで劇は終わり。

と、思っていたら...。


柊の唇が、本当にあたしの唇に触れたんだ。


あたしはずっと目を閉じていなきゃいけないのに、思わずグッと目を開けてしまう。


証明は完全に消え……。


「姫は、王子とキスをしたあと、静かに息を引き取りました」


最後のナレーションで、劇は幕を閉じた。


ちょ……。

え……!?


なに……!?


今、キス、した!?


え!?


なんで!?


フリだけでいいのに……。


暗くて、距離感がつかめなかった!?


どうせ客席からはよく見えないんだから、そんなに唇を近づける必要はなかったのに……。


キス……。


あたし、柊と、今、キス、しちゃった……?




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