白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
あたしはマキに苦笑して、文化祭であったことを全て話した。
マキの目がキョトンと丸くなっている。
「それ、マジで?」
あたしは、膝を抱いて無言で頷く。
「劇でのキスは別に本当にしなくてよかったんだよ? しかも照明も落ちてるから、顔さえあまり近づけなくてもいいくらいだったのに」
「うん……。だからあたしも、驚いちゃってさ」
あたしが肩をすくめて言うと、マキは顎に手を当て、まるで探偵のように推理をし始めた。
「照明が落ちていく中、古賀くんは雪羽に本当にキスしてきた」
「…………」
推理と言っても、それ以上のことは言葉にしなかったのだけれど。
「それって、完全に好きって意味なんじゃないの?」
出た答えが、これだ。
それは……自惚れかもしれないけれど、あたしも思った。
誰も見ていないところで、だけど、みんなの前でのキスだ。
もしかしたら、誰かに見られるかもしれない状況で。
嫌いな相手に、そんな危険なことはしないでしょ?
誰かに見られていたら、速攻噂が学年中に広まるかもしれない。
そんな中、キス、されたんだ。