最悪から最愛へ
結婚式は男よりも女のほうがずっと夢があるのだ。その夢を叶えてくれないなんて…なんて意地悪で酷い男だろう。


「何もー」


渚は口を尖らせる。


「お互い納得出来なくちゃ、良い式にならないだろ?んー、両方着るという考えもあるな。両方着るか?」


でも、式は一度だけだ。神前式でやって、洋装は写真撮ればいいだろう。


「ああ、そうね。だったら、和装は写真にしよう」


渚は峻と反対に考えていた。


「は?逆だよ。式はあくまでも神前だ」


「えー、そんなのつまらないじゃないのよ。絶対にやだ」


二人の意見は全く合わない。テーブルの上に広げた結婚式のパンフレットが虚しく見えてきた。


♪~♪~♪


渚のスマホが鳴る。


「あ、お母さんだ。はいはーい。…ん、うん。あ、もらう。…今?んー、そうだね。…うん、行くよ。じゃあね」


「ん?今から実家、行くの?」


「うん、近所の人に、イチゴをもらったから取りにおいでだって」
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