最悪から最愛へ
渚は出掛ける準備をする。


「俺も行こうか?」


「ううん、峻はいいよ。待ってて。もらったら、すぐに帰ってくるから」


往復一時間の距離だ。近いと言える距離ではないけど、今の渚は峻と一緒に出掛けたい気分じゃなかった。意見が合わない時に一緒にいても良いことにならない。

数時間でも離れて考え直したほうがお互いの為になる。感情的になるばかりでは何も解決しない。


「そうか。気をつけて行ってこいよ」


「うん、行ってきます」


渚が出て行き、峻は結婚式のパンフレットを整理する。ほとんど渚がもらってきたものばかりだ。渚の希望を叶えてあげたいという思いはあるのだが…


「タキシードなんて柄じゃないんだよなー。まいったな」


ピンポーン


「はい」


勧誘か何かだろう思った。


「峻、渚ちゃんはいるのー?」


「はあ。渚はさっき出掛けたよ。2時間くらい帰って来ないと思うけど」


「まあ、いいわ。入れて」


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