うつくしいもの

「俺もJUKEが解散したのは、
兄貴本人から聞いて知ってた」



初めて、優雅はJUKEが解散した事を口に出した


そう語る表情は、

それをどう思っているのかは分からないけど





「兄貴がこの先、どうなるか……。

兄貴は音楽を辞めるんじゃないかな?」


優雅は私の横に、腰を下ろした




「えっ?

だって、優雅もブログ読んだでしょ?」


そう言い返すように語気が強くなる私を、

優雅は冷めたような目で見る




「寺岡さん、あの人が色々なレコード会社に手を回しているみたい。
兄貴がどこかからデビューしないように。

他のレコード会社にも、
寺岡さんに逆らえないような人間は多いから。

まぁ、人伝いに聞いた話だから、本当かどうか分からないけど」



「えっ?
なんで?

寺岡さんは何故、涼雅を……。

まさか、秋原さんの声に似てるから……」




以前、彼は言っていた



“――秋原慎太郎に似てるんだよねー――”



自分のプロデュースするバンドに声が似ているだけで、

そこ迄……




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