うつくしいもの

「言ってくれるね」



だけど、寺岡さんはそんな私の嫌味を交わすように笑う





歩いていると、

寺岡さんがインタビュー録画をするレストランに、着いた




「さっきの彼が言ってた事を1つ訂正するけど。
俺は、菜々花が女だからスカウトをしたわけじゃない。

菜々花には、歌う才能が有る。
声を掛けずにはいられないくらいの」


そう言って、寺岡さんは店に入って行こうとする




「優雅は、どうなんですか?

優雅は?」


その言葉で、寺岡さんは1度足を止めたけど、

そのまま振り返らずに店の中に入って行った





優雅は、あなたが涼雅を潰したいだけの道具なの?




私は耐えきれなくて、
その場から少し離れて泣いてしまう



悲しくて辛い事が多くて、

涙が止まらなかった






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