うつくしいもの

「急いでるから、失礼するけど」


寺岡さんは私の肩を押して、
歩かせる




私はこの人に付いて行くような用事はもうないけど、

これ以上涼雅と居る事が嫌でそれに従う




涼雅は、もう追って来ない




「――菜々花はあれだね?

優雅だけじゃなくて、
お兄さんの方とも関係があるんだ。
ネットで前にそんな噂を見たけど、
ネットに書いてる事だから信憑性ないし気にしてなかったけど。

これ以上、後から面倒な事出て来ないよね?」



「――ネットの噂ってけっこう本当の事多いんですね?

私が誰かに知られて後ろ指を指されるような事は、

あなたとの事しかないですよ」



寺岡さんの言葉に悪意を感じて、

私もそう言い返した




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